研究代表者は本研究のため3度にわたり沖縄本島・石垣島方面に史料調査を行った。期間は、第1回目は2003年11月20日〜11月24日、第2回目が2004年2月27日〜3月2日、第2回目が2004年3月25日〜3月31日である。 史料調査の内容では、本年度は主として、次に1945年の占領開始期の沖縄教会の事情をよく知る人物への聞き取りを中心に行った。第1回目の調査では、石垣島で10名(教職者(牧師)3名、信徒7名)に対し延べ10時間あまり、第3回目では沖縄本島で5名(教職者1名、信徒4名)に対して延べ5時間あまり聞き取り調査を行った。この聞き取りでは、従来から拠るべき史料がないとされてきたいわゆる沖縄戦後キリスト教史の「空白」を埋める貴重な証言が得られ、1950年代のキリスト教伝道の起点の詳細が次第に明らかになりつつあるので、以後も精力的に同様の調査を行い、順次文字興し、基礎的史料の確立に務めたい。 また、昨年度から着手しはじめた仲里朝章氏(沖縄キリスト教会・沖縄キリスト教団理事長、沖縄キリスト教短期大学初代学長)文書については、御遺族の許可を得て、約200冊あまりの手記、手帳類、説教・講演草稿類等々の目録づくりに着手した。同文書は単にキリスト教史のみならず、沖縄戦後史にとってもきわめて重要なものであるので、その内容の精査を今後とも進めてゆきたい(これについては後に資料集として公開する予定である)。同時に、その保存についても文書所蔵者である御遺族と協議してゆきたい。 以上の調査・研究の成果を以下の2回にわたり学会発表をおこなった。(1)「軍事占領とキリスト教-戦後米軍支配下の沖縄地域社会と教会-」(「宗教と社会」学会第11回学術大会、2003年6月、於筑波大学)、(2)「軍政とキリスト教-1945年から1950年代初頭における米軍統治下の沖縄を事例に-」(第54回キリスト教史学会大会、2003年9月、於関西学院大学)。
|