本年度は、研究の最終総括の時期であった。そのため、本研究の主たる対象である1945年〜1950年代の沖縄のキリスト教についてこれまでに漏れていた史料収集を行った。また、最終的な研究成果の公表のために過去4年間の研究成果を踏まえて研究目的を精査し、方法論や分析枠組みの再構築を行い、それについて論文を執筆した(最終的な「研究成果報告書」の序論部分に相当)。それから、本年度以降、本研究の展開と発展を展望するために、1960年代の沖縄のキリスト教について予備的な調査を開始した。 具体的には、沖縄本島方面に調査は、2005年8月2日〜22日と2006年3月19日〜22日の2回行った。史料調査では、本年度は昨年度から引き続いて聞き取り調査を行った。あわせて、沖縄県公文書館・沖縄県立図書館・日本基督教団沖縄教区資料室等で文字史料の収集を行い、あわせて聞き取り調査も実施した。 また、2003年度から着手しはじめた仲里朝章氏(沖縄キリスト協会・沖縄キリスト教団理事長、沖縄キリスト教短期大学初代学長)文書(手記、手帳類、説教・講演草稿類等々。以下「仲里文書」)については、昨年度作成したデータベースをもとに文書の複写を行い、その文書群の一部のワープロ入力に着手し、詳細な分析の準備を進めている。この「仲里文書」は単にキリスト教史のみならず、沖縄戦後史にとってもきわめて重要なものであるので、その内容精査を今後とも進めてゆきたい(これについては後に資料集として公開する予定である)。同時に、その保存についても文書所蔵者である御遺族と協議してゆきたい。 以上の調査・研究の成果について以下の学会発表を行った。 ○一色哲「転轍-1960年代の沖縄地域社会とキリスト教-」第56回キリスト教史学会大会、2005年9月 また、本研究の関連の課題として、戦前の沖縄キリスト教につき以下の学会発表を行った。 ○一色哲「辺境のキリスト教と日本の近代-伊波月城とその周辺-」日本思想史学会2005年度大会、2005年10月
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