本研究では、当該期間(4年間)で計7回にわたる沖縄での調査を行った(沖縄島7回、宮古島・石垣島各1回)。文献調査は日本キリスト教団沖縄教区資料室(宜野湾市)、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館・同宮古分館、石垣市立図書館等で行った。また、個人所有の史料についても調査を行い、それらの資料の保存方法についても史料所有者と協議をした。これにより1940年代から60年代にかけての貴重な史料の全体像が明らかになった。 また、聞き取り調査を沖縄島・宮古島・石垣島で行い、約20名の人物に話を聞いた(合計約30時間)。そのような調査により、これまで解明されていなかったこの時代の沖縄のキリスト教の動向が立体的に浮かび上がってきた。その結果、以下の新しい成果を得た。 1.研究の新しい方法論の確立し、それを学会等で提起した。 2.仲里朝章文書など1940年代沖縄の新史料の発掘しデータベースを作成した。 3.1940年代後占領統治初期の教会形成の実相を明らかにし、軍政当局がキリスト教を占領統治に利用しようとした事実を発掘した。 4.1950年代、米軍が積極的に行った慈善活動や米琉親善の背後にあった宣撫工作の実態を解明し、それらとキリスト教の関係を追究した。 5.沖縄地域社会におけるキリスト教会の働きと存在意義について。 (1)「土地闘争」、島ぐるみ闘争における教会・キリスト者の行動の解明。 (2)沖縄の地域住民のキリスト教に対する評価を実証的に解明した。 6.宣教師やチャプレン(従軍牧師)等の沖縄のキリスト教に果たした役割を実証した。 最終的に課題関連の学会発表を8回行った(国内学会6回、国際学会2回)。また、5本の研究論文を学会誌に投稿し、掲載された(うち2本は既発表論文の再掲)。
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