1、「公共性」に関する概念分析的考察を進め、昨年度「実績報告書」で記した方向で一応の纏めを行なった。その成果を共編著『公共性の哲学を学ぶ人のために』として公表した。併せて、12月に、本書の合同書評会を行い、私の分析の一端を口頭でも報告した。また、公共性の一類型として取り出した「倫理的公共性」については、所属研究室の雑誌DIALOGICAで、私自身の分析を少し詳細に展開した。 「倫理的公共性」のさらなる解明のためには、そもそもの「倫理性」概念の検討が必要であり、その研究の補助を申請しているところであるが、この研究への橋渡しとして、日本倫理学会平成16年度大会シンポジウムで「エゴイズム」概念の検討を行なった(『大会報告集』および『倫理学年報』参照)。 2、いわば応用的研究として、都市景観-いうまでもなく、これは一つの公共財ないしは公共空間である-について、主として景観紛争(解決)の観点から考察を行い、日本建築学会の一部会での討議用資料として論稿を提供し、またDIALOGICAで一考察を展開した。 3、公共性を支える人間を「公民」と呼ぶとして、同様、応用的研究として、その「公民」の教育=いわゆる「公民教育」の考察を進めた。その成果の一端は本年はじめに『岩波 応用倫理学講義』第6巻・教育所収の論稿で公表された。
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