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2002 年度 実績報告書

折衷学・考証学の地方的展開に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510051
研究機関東北大学

研究代表者

高橋 章則  東北大学, 大学院・文学研究科, 講師 (10187990)

キーワード折衷学 / 考証学 / 書物 / 享受 / 小野隆庵 / 熊阪台州 / 内池永年 / 東北地方
研究概要

本研究は、近世後期における「折衷学」・「考証学」の学統の地方的展開の実態を明らかにするとともに、その学問の基盤である「書物」の入手と享受の意義を思想史的に考察することを目的とするものである。その端緒として主に取り上げるのが、現在の福島市近傍に居住した知識人たちである。当該地域は、「徂徠学」派に属しのちに「考証学」への志向を強くした熊阪台州が地域の知識人層を糾合したところであるが、台州の門人の多くはこの地を代表する儒医小野隆庵の門人でもあった。隆庵は「折衷医」であり、その学問は経験や実証を重んじるとともに広範な医学書を「考証」し諸見解を「折衷」する、と言うものであった。この隆庵の「書物」の広範な「入手」と様々なかたちでの「使用」・「享受」は、医学史の実像を物語ることは言うまでもないが、思想史的には、「書物」を比較・考量するという「考証」・「折衷」という学問方法の実態を如実に示している。
平成14年度の研究は、主に(1)上記隆庵を中心とした福島市近傍の学問状況の基礎調査と、(2)各種関係資料・文献の入手と検討とを行うこと、(3)研究の広がりを期して東北地方の他地域での折衷学・考証学の展開の基礎調査を行うことに、重点をおいた。
資料調査の主要地は、福島県福島市、同伊達郡桑折町・伊達町、宮城県遠田郡田尻町・涌谷町とであった。当該地の資料提供先に赴き、蔵書目録や既知資料・未見資料の閲読・複写を行い、今後の検証の材料を整備した。本年度の調査、特に田尻町・涌谷町の調査では資料所蔵者からの資料提供を得、東北地域の文化的・思想的な交流の実態を示す新たな素材の発見もなった。なお、調査の過程で、地域の思想構造の複雑な実態がより明確となり、本研究の課題解明のためのより広い調査の必要性があらためて求められることとなった。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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