1.日韓の歴史認識問題の解決のためには、まずこれまでの歴史認識問題が持っていたイデオロギー性の分析をする必要がある。これに関しては、戦後の右翼および左翼(日本)、体制と反体制(韓国)の立場の基本的な整理が終わった。その複雑なからみあいの構造をできるだけ正確に整理したい。シンポジウム日本と韓国・・・過去の記憶と未来への対話」(財団法人女性のためのアジア平和基金主催、2002年11月16日、於上智大学)にてこの成果の一部分を発表した。 2.東アジア独自の歴史認識の構造分析に関しては、中華思想の本質を探究中である。また歴史認識問題は各民族の持つ「たましい」に対する考えにまで掘り下げてゆかなければ真に解決するものではない。この点に関しては、諸宗教および神話における「霊魂」観を分析中であり、特に日本の特殊な神話・霊魂観が、韓国をはじめとする儒教文化圏にとっていかに異質であるか、そのためにどのような摩擦をもたらしているか、にまで分析の範囲をひろげたい。 3.中国・ヴェトナムを含めた東アジア全体の中での視野に関しては、まだ研究の進捗を見ていない。 4.ドイツの事例に関しては、戦後補償の問題を含めて、調査中である。 平成15年度には、上記1および2の成果を論文化するとともに、3および4の分析を並行して急ぐこととする。
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