日韓の歴史認識問題を考える上で、(1)儒教など伝統思想の問題(2)左右のイデオロギーの影響の問題、以上2点に関しては、研究を深めることができた。具体的には、東アジア的「主体」および韓国における「反日」の儒教的・イデオロギー的要素に関して考察した。西洋近代のタームである「主体」を、東アジアの儒教的伝統において再解釈すると、「歴史」における行為の意味を西洋近代とは異なる視点から把え直すことができる。それによって日韓の歴史認識問題の「特殊性」と「普遍性」を区別することができ、さらにこの問題を契機としてわれわれはどのような「東アジア」を構築してゆくことができるのか思想的に展望することが可能となるであろう。発表済みの成果はまだ多くはないが、平成16年度中にはまとまった形で発表できるであろうと考えている。但し、中国・ヴェトナムを含めた考察、およびドイツの事例との比較という側面はいまだに充分な研究ができておらず、従って発表済みの成果もまだない。
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