研究課題
基盤研究(C)
本プロジェクトは西アジア起源の「存在一性論」の宇宙論、人間学、論理思想が中国に伝播し、漢文教養をもつ中国人ムスリム知識人に受容されてゆく過程で起こったさまざまな思想的事件を考察した。そして、中国イスラーム思想に特に大きな影響を与えている西アジアの存在一性論哲学者がナクシュバンド派スーフィー思想家のジャーミーであり、また存在一性論倫理思想の点ではクブラー派スーフィー思想家のアジーズ・ナサフィー、ナジュム・ラーズィーの倫理思想の影響が大きいことが明らかになった。これらの存在一性論哲学思想、倫理思想は中国人ムスリムの漢文教養を基とした知的営為の過程で儒教的、道教的、さらには仏教的要素の影響を受けている。これによって、本来の「存在一性論」が変化した部分と変化しなかった部分が生じた。本プロジェクトはこの両者の分類の方法を確立した。さらに、「存在一性論」が胡登州を始祖とし清朝初期の王岱輿、劉智などの活躍により中国イスラーム世界において主流神学思想の地位を占めるに至り、それが世代を継いで連綿と継承されている事実を確認した。この「中国イスラームの存在一性論思想」は中国各地に継承者を持つことになり、それぞれの地域において地域的特性を獲得しながら発展していった。そして、19世紀雲南のイスラーム社会に馬徳新(復初)があらわれ「中国イスラーム存在一性論」の最高到達点を示していることを明らかにした。馬徳新はイスラームの基本に忠実であるが、イスラームの諸理念を発展的に解釈して、独創的な思想世界を確立している思想家であることを明らかにした。馬徳新のイスラーム解釈、宗教思想はイスラーム世界全体の思想史のなかにおいても極めて特異な思想であると同時に、イスラーム世界という文化の範囲を超える普遍性をもった思想である。このような馬徳新の基本思想とその特徴を明らかにできたことは本研究の大きな収穫の一つである。
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