1.国内の関連資料の収集とデータベース化:演奏会パンフレット、新聞、雑誌記事その他を図書館や資料館で収集し、すでに申請者の収集済みの資料をあわせてデータベース化をおこなった。大学院の博士および修士の学生で組んだチームがこの作業にあたり、現在、1959年〜1991年の諸資料の書誌データの入力が終了している。来年度もこの作業を継続し、データの補完を行うとともに、新しい情報の収集・入力を行う。 2.伝記的事項に関する取材:伝記研究の基礎データを蓄積するために、武満浅香夫人へのインタビューを本年度は5回行った。また、大阪万博と武満徹、関西の楽壇への影響を検証するため、大阪在住の作曲家・音楽関係者へのインタビューを行った。 3.武満と関連作曲家の楽曲分析:"La poetique musicale de Toru TAKEMITSU"を発表し、武満の音楽詩学について包括的に考察した。また、前衛主義の武満に対して彼と同世代の保守主義の作曲家、矢代秋雄の音楽作品を中心に分析し、武満と対照的な音楽の在り方・作曲の思想を論じた。この結果は共著「現代日本の転換期の音楽-矢代秋雄の<声>と<エクリチュール>」として発表した。 4.映画音楽関連資料の収集と研究:武満が作曲した映画音楽やTVのための付随音楽に関して、ヴィデオ、LD、DVD等の一部の資料を収集し、新しく購入したAV装置での研究を開始した。
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