平成14年度は本研究課題の初年度に当るので、まず海外調査に重点をおき、1)かねてから予備調査を続けている中国西方地域の少数民族とその音楽文化が観光との関係でどのような状況にあるか、に関する調査旅行をトルファン、ウルムチ、カシュガルなどで行った。また2)ベルギーでの国際音楽学会大会出席をかねて、ブリュッセル、フライブルク、ミラノでの研究資料収集を行い、さらに3)ニューヨークにおいて、9月11日の前後の音楽活動に関する調査を行った。それぞれ予想を上回る実質的な成果を得た。国内での成果としては、1)静岡で行われた日本音楽学会50周年記念国際大会シンポジウムで、"Globalization and Musicology : Towards the Music Situation in the 21^<st> Century"という英語の発表を行った。2)平凡社から出版された『アドルノ 批判のプリズム』に論文「グローバル化時代のアドルノ理論」を執筆した。3)音楽の友社から出版された『転換期の音楽』に論文「アドルノの後期ベートーヴェン論」を執筆した。4)『諸民族の音楽を学ぶ人のために』(世界思想社)に、2002年度に執筆を完了した「パンアフリカン・ミュージックと現代の音楽文化」が掲載予定である。課題の研究は2003年度も予定通り続けてゆきたい。
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