本年度は、中国及び欧州所在の作例について調査・撮影をおこなった。調査作品は以下の通りである。 1.舎利容器の調査 1)〓西省耀縣出土石函(隋時代、耀縣博物館)、同省周至県仙遊寺塔出土棺型舎利容器(唐時代) 2)銀製棺型舎利容器(北宋時代、パリ・ギメ美術館)、骨灰容器(6-7世紀、ペリオ請来品、ギメ美術館) 2.石棺の調査 1)河南省洛陽市関林所在石棺(北魏時代)、天水市博物館所在石床 2)ギメ美術館所在墓室内壁画、ロンドン・V&A美術館所在石棺(高麗時代) このうち、耀縣出土石函は隋文帝による仁寿舎利塔埋納品と見られる貴重な作例である。この石棺には、宝珠を釈迦に見立てた涅槃の場面が描かれており、宝珠が宝物から舎利へと意味を転換したことを考える上でも重要な素材である。
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