本年度は、中国山西省、河北省、山東省所在遺品について調査をおこなった。調査作例は以下の通りである。 1.舎利荘厳関連遺品の調査 臨猗県大雲寺造像碑(山西省博)、北魏石塔(南禅寺大殿)、霊岩寺慧崇塔(山東省長清)、青州舎利塔下銘(青州市博) 2.墳墓関連遺品の調査 司馬金龍墓石棺床(下華厳寺所在) 3.仏像・石窟の調査 雲岡石窟、天竜山石窟、南涅水石刻造像(沁県)(以上山西省)、響堂山石窟(河北省)、龍興寺址出土石像群(青州市博)、駝山石窟、雲門山石窟(以上山東省)、曲陽修徳寺出土石造群(北京故宮博) 4.寺院建築・壁画の調査 崇福寺弥陀殿(朔州)、南禅寺大殿(五台山)、鎮国寺万仏殿(平遙)、大雲院弥陀殿(平順)、天台庵(平順)(以上山西省) このうち、涅槃・再生説法・茶毘から舎利供養へと至る一連の図像があらわされている大雲寺造像碑は、則天武后期の報恩思想に基づく重要作例であることが確認された。他に、仁寿舎利塔下銘の一である青州舎利塔下銘、北魏の司馬金龍墓石棺床、半開の扉図像をあらわす霊岩寺慧崇塔など、墓制と舎利供養の交渉に関わる重要な作例について成果を得た。 また、三年間の研究成果をまとめた報告書を刊行した。
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