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2004 年度 実績報告書

デューラーにおける自画像成立の過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510084
研究機関九州産業大学

研究代表者

下村 耕史  九州産業大学, 芸術学部, 教授 (50069514)

キーワード自画像 / 肖像画 / 写実主義 / 宮廷肖像画 / 市民肖像画 / ヤン・ファン・エイク / ネーデルランド絵画 / 油彩技法
研究概要

デューラーにおける自画像成立の前段階として、本年度は15世紀前半のネーデルランド絵画で成立した写実的な近世肖像画に注目した。「所謂ティモテオスの肖像」(1432年)を初めとするヤン・ファン・エイク作の一群の肖像画は、当時発見された油彩技法(テンペラと油彩との混合技法)を完璧に活用して、かつてないほど精緻な写実主義を実現した。ヤン・ファン・エイクの肖像画と従来の宮廷肖像画との相違点は、後者の対象が君侯であったのに対して、前者では富裕な市民、さらには人間そのものが主人公となったことにある。ここで初めて肖像画は公職や社会的地位と結びつけられずに、個人としての人物を表現した。彼がこれを成し得た理由の一つとして、彼がフランドル公の宮廷画家であると同時に、宮廷に縛られない自由な親方Freimeisterであったことが考量されねばならない。従来の宮廷肖像画では衣装と地位の標識が重要であったが、当時宮廷と争いを繰り返していた富裕な市民層では、身分と地位を示すエンブレムを必要としない、人物の実在性を経験的な写実主義で再現する肖像画が求められた。ヤン・ファン・エイクはこの要求に見事応えることができたのである。この写実主義は君侯の肖像画にも影響を及ぼした。この意味で写実主義は市民肖像画の特性たるに留まらず、肖像画というジャンルの様相を以後変えることになった。ヤン・ファン・エイクにおいて確立された肖像画が、1500年のミュンヘンの自画像で代表される、デューラーにおける自画像の成立とどのように関連するかが、次の課題になる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] デューラーの『測定法教則』(6)2005

    • 著者名/発表者名
      下村 耕史
    • 雑誌名

      九州産業大学芸術学部研究報告 第36巻

      ページ: 55-68

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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