本研究は「名所」が近世期の人々にとっていかに意識されるべき対象であったのか、また「新名所」はどのようにして認知されるのかを浮世絵版画を中心的素材として、美術史及び歴史学の両分野の視点から分析するものである。 個別的な研究はまだ深化させるべき多くの課題を残すものの、博物館としての成果の活用という点においては、下記のごとく展覧会及びその関連事業としての連続講座として広く一般県民(市民)に提示した。博物館資料を素材として、展示という博物館の一事業としての成果の一端を多くの人々へ知ってもらうことができた。 (1)展覧会:特別展「幕末・明治 かながわ名所探訪」 (2)関連事業県博講座「幕末明治期の横浜をめぐる」 嶋村元宏「幕末・明治 外国人の旅行ルート」 鈴木良明「江戸時代の名所」 桑山童奈「横浜浮世絵にみる名所」 丹治雄一「明治期横浜の町並みと建築」 (3)出版物:嶋村元宏編著 特別展図録「幕末・明治 かながわ名所探訪」 また、調査結果に基づき、以下の2種類のデータベースを構築した。 (1)東海道揃物データベース (2)東海道関係古写真データベース なお、本研究報告書へは、紙幅の関係から(1)の「東海道揃物データベース」を掲載した。
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