研究課題/領域番号 |
14510087
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館京都国立美術館 |
研究代表者 |
内山 武夫 独立行政法人国立美術館, 京都国立近代美術館, 館長 (80099944)
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研究分担者 |
池田 祐子 独立行政法人国立美術館, 京都国立近代美術館・学芸課, 主任研究官 (50270492)
松原 龍一 独立行政法人国立美術館, 京都国立近代美術館・学芸課, 主任研究官 (40270491)
島田 康寛 独立行政法人国立美術館, 京都国立近代美術館・学芸課, 課長 (20099948)
小倉 実子 独立行政法人国立美術館, 京都国立近代美術館・学芸課, 研究員 (70311214)
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キーワード | 神坂雪佳 / 近代 / 工芸 / 琳派 / 京都美術協会 / 佳都美会 / 競美会 / 図案・デザイン |
研究概要 |
本年度は、明治維新以降の社会構造の近代化・産業化の中で、琳派を基礎として、京都を中心に新時代に相応しい日本独自の芸術・工芸を模索した運動の中心人物であった神坂雪佳の調査を主として行った。 神坂雪佳(1866-1942)の活動時期は、明治半から昭和初であるが、没後2年目の昭和19年に現在の京都市美術館を会場として遺作展が開催された外は、彼の作品・活動が纏まった形で紹介されることは現在に至るまで一切なかった。そこで、『遺作展出品目録』ならびに出品作のうち代表作のみを白黒写真で掲載した『遺作展図録』、そして昭和56年に出版された雪佳に関する唯一の包括的文献である『近代の琳派 神坂雪佳』(榊原吉郎著)を手がかりに、作品の所在を確認することが本年度の最重要課題であり、国内外に関して一定の成果を得た。 とりわけ、雪佳が昭和7年を機に京都市中心部の自宅から嵯峨野に隠棲した、その晩年の住居が未だに遺されており(但し母屋は震災で損壊)、ご遺族の協力を得て4回にわたり土蔵内部を調査したところ、遺作展以降所在が不明であった作品が再発見された。また、雪佳が収集・使用した書籍・写真・書画・工芸品が数多く確認され、雪佳、ひいては当時の京都における芸術運動の動向を探る上での貴重な資料となった。しかし、これら資料は広範囲かつ相当数に上るため、本格的な分類・分析は平成15年度に行うこととした。また、雪佳の、とりわけ絵画作品は、1960年代以降相当数が海外へと流出している。その多くが個人コレクターの元にわたっており、本年度は、アメリカのバーミングハム美術館の協力を得て、合衆国本土・カナダ・フランスにおいて作品の所在確認ならびに調査を行った。
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