研究課題について、平成16年度は、これまで写真撮影した星曼荼羅(北斗曼荼羅、熾盛光曼荼羅)ならびに関連資料について、写真フィルムのデジタル化を進め、星曼荼羅研究のための基礎的なデータベースを作成した。データベース作成の基本方針として、各星曼荼羅ならびに関連資料における個別尊像ごとの画像入力をあげた。それは各資料の全図のみの画像では個別尊像の細部の図像的特徴を把握するのが困難であると判断したからである。取り上げた作品は、星曼荼羅としては、大阪・久米田寺本、大阪・金剛寺本、大阪歴史博物館本、細見美術財団本、京都・三千院本、京都・真輪院本、大阪・宝積院本であり、関連資料には、唐本北斗曼荼羅(東京芸術大学大学美術館所蔵)、熾盛光如来降臨図(高麗美術館所蔵)、五星二十八宿神形図(大阪市立美術館所蔵)がある。参考として、奈良・法隆寺本(甲本、乙本)の全図も取り上げたが、法隆寺本については、新規の写真撮影について許可を得るにいたらず、したがって個別尊像ごとのデータを入手できていない。また、星曼荼羅の成立と展開を考察する上で、火羅図(京都・東寺所蔵)も極めて重要な作品であるが、この作品も同様、データの入手にいたらなかった。種々の理由から新規の写真撮影について許可を得ることができなかった作品はほかにもあり、今回作成したデータベースは、鎌倉時代以前に制作された現存する星曼荼羅ならびに関連資料の全体を見渡す内容とはなっていない。引き続き関連資料の情報入手につとめ、未収データを追加してデータベースとしての精度を高められるよう、調査を継続する。平成14年度から16年度にわたり調査・撮影した作品は別途報告書に掲載する。
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