研究課題/領域番号 |
14510093
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山岸 侯彦 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (70286136)
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研究分担者 |
中川 正宣 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (40155685)
牟田 博光 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (70090925)
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キーワード | 確率判断 / 意志決定 / ニューラルネットワーク / 主観確率 / 選択 / 不確実下の決定 / 認知過程 / 言語確率 |
研究概要 |
本研究は、主観的な不確実性、すなわち主観確率を表現する方法によって意思決定がどのような影響を受けるかを明らかにし、さらにそうした意思決定過程をモデル化することを目標としている。先行研究では、主観確率を言語で表現する際、言語が持つ性質としての「方向性」が選択行動に影響を及ぼすことが示唆されていた。方向性とは、ある不確実事象が実現する可能性を「ほぼ確実である」と述べるように、コミュニケーションの焦点を実現化する方向へ向ける「上昇性」と、同じ可能性を「完全ではない」と述べるように、コミュニケーションの焦点を実現化しない方向へ向ける「下降性」がある。仮想ギャンブルを用いた実験室実験では、同じ利得を持つギャンブルの二者択一場面を設定し、勝つ見込みが「ほぼ確実である」ギャンブル対「完全ではない」ギャンブルのように、上昇性と下降性の言語確率の対の選択を得た。一方、別の被験者からは「ほぼ確実である」や「完全ではない」といった言語確率が、数値確率として何%に対応するかの評定を得た。その結果、数値確率の対応物では上昇性言語確率が下降性言語確率を下回る選択場面において、選好では上昇性言語を持つ選択肢が好まれることが明らかになった。さらに、このような選択過程のニューラルネットワークを用いたモデル化に成功した。本研究の貢献は、選択場面における選択傾向が、従来の意思決定論で盛んに研究された「選好逆転現象」に、新たなバリエーションを加える発見を行った点、およびそうした認知過程のモデル化の可能性を示し、試論としてのモデルを作成した点にある。
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