研究概要 |
本研究の目的は、視覚認知における「量的形勢判断」過程を、特徴分析、ダイナミックス、効率分析といった観点から検討し、最終的には、数量処理の脳内モデルの一部を形成することである。 本年度の研究実績は下記の通りである。 (1)平成14,15年度の追加実験を行った。具体的には以下の通りである。 (1)形勢判断に及ぼす刺激特性の解明を進めるために、多属性2値(例 色:赤vs緑、線方位:垂直線vs斜線 運動方向 水平vs垂直の組み合わせ)に関してポップアップする(あるいは、しない)特徴の属性値を組み合わせて、恒常法により主観的等比率点(主観的に同数と判断される物理的な比率)を測定した。 (2)形勢判断に及ぼす動的特性を解明するために、3次元空間内で増減が変動する刺激群を用いて、主観的等比率点を測定した。 (3)比率にノイズを加えた刺激群を用いることで、効率分析の手法を適用し、形勢判断におけるサンプリング過程の検討を行った。その結果、初期モデルに効率分析の結果により得られるサンプリング特性を組み込んだ、統合的な「量的形勢判断」モデルを構築した。 (2)「量的形勢判断」モデルに認知神経科学的基盤を与えるため、ニューラルネットワークによる、脳内表現モデル実現を行った。 (3)平成14,15年度の成果を、ヨーロッパ視覚学会、日本心理学会等で発表した。
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