研究概要 |
本研究では,環境音に関するアンケート調査を行い,主観的評価の結果をもとに環境音を分類し,その特徴を考察するとともに,環境音の評価構造について検討した。 アンケート調査においては,11種類の評価語対からなる7段階のSD尺度を用いて,30種類の環境音を評価してもらった。環境音は,主に家庭から出る音,主に公衆の場から出る音,自然の音や情緒を感じる音の3種類に分類して選定した。調査の対象は,学生32人,一般33人の合計65人であった。 得られたデータを学生,一般の各属性ごとに分類して集計し,評価語対を変数として因子分析を行った結果,美的因子と迫力因子の2因子が抽出された。また,学生と一般の間では、ほぼ同様の結果が得られた。次に,クラスター分析を用い,SD尺度上での評価値を変数として環境音を分類した結果,学生,一般の各属性について,それぞれの分類ごとに環境音の現れ方に大きな違いは見られなかった。そこで,両属性のデータを用いて環境音を分類したところ4つのクラスターに分けられた。各クラスターについて因子得点を求めたところ,それぞれ「美しくなく迫力がない」,「美しくなく迫力がある」,「美しく迫力がない」,「美しく迫力がある」と評価されていることがわかった。 続いて,環境音を評価する際の評価語対の連関構造を知るために,11種類の評価語対を,物理量に近いレベルの「質感評価語」の群,より主観的なイメージを問うレベルの「イメージ評価語」の群,心理的な状態を問うレベルの「総合評価語」の群に分類し,評価値を変数としてグラフィカルモデリングを行った結果,この順で階層的な関連性が見られた。
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