視覚情報と体性感覚情報のクロスモーダル知覚における脳内過程の検討

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14510104
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 太城 敬良 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00047250)
• 研究分担者: 橋本 文彦 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (30275234) ; 中山 満子 大阪市立大学, 学術情報総合センター, 助教授 (30235692) ; 宮内 哲 独立行政法人通信総合研究所, 関西先端研究センター・脳機能グループ, グループリーダー ; 林 美恵子 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (60339679)
• キーワード: 視覚 / 体性感覚 / クロスモーダル / 脳内過程

研究概要

視覚情報と体制感覚情報の照合過程により、身体あるいは身体部位を中心とした空間位置把握の脳内過程の検討との目的に沿って、本年度は4種の実験パラダイムに沿って実験が実施された。
(1)左右反転眼鏡・上下反転眼鏡連続着用実験
左右2名、上下1名の被験者で4日問の実験を実施した。fMRIで98年度に行った実験における4日程度のV1における半側での変化は今のところ確認できないでいる。解析方法を各種検討してみること、刺激の提示方法などとの関連から再検討の必要があろう。今回初めてガボール刺激を使った長距離相互作用を見る知覚学習課題の心理物理実験において、コントロールの上下に比較して左右において学習効果が見られた。次年度におけるfMRI検討が待たれる。
(2)空間的刺激-反応の適合性効果実験
複合図形のグローバルな位置変化と複合図形内のローカルな位置変化のいずれがどの様に優位となるか、その際の脳内過程を探る目的を持った。しかし心理実験では条件変化による結果の安定性が低く、現在fMRI事態での実験条件を決める実験が進行中である。
(3)視覚と触覚のクロスモーダルな注意の瞬き現象実験
視覚-触覚のクロスモーダルな注意の干渉は、単一モーダルの干渉よりも小さいことが明らかになった。統合過程における注意資源の重要性が示唆された。次年度さらに適切な実験事態を探り、fMRIにより脳内過程を探る。
(4)ねじり組み手錯誤実験
fMRI装置にての実験が可能か試みられたが、長時間は不可能であると判明した。次年度ではMEGの可能性を探らねばならない。一方、心理実験として楽器演奏熟達者群では、錯誤が有意に少ないことが判明した。これは統合過程が単なる視覚優位でないことを示唆する。

研究成果

• [文献書誌] 江草, 宮内, 林, 橋本, 中山, 太城: "空間的な刺激-反応適合性効果の判断課題による差異"日本心理学会第67回大会. (印刷中).
• [文献書誌] 太城, 江草, 宮内, 林, 橋本, 中山: "ねじり組み手錯誤の起因(4)-楽器演奏熟達者における効果-"日本心理学会第67回大会. (印刷中).
• [文献書誌] 林, 橋本, 山本, 中山: "視覚-触覚間の注意の瞬き現象(1):触覚から視覚への影響"日本認知科学会第20回大会. (印刷中).
• [文献書誌] 林, 橋本, 山本, 中山: "視覚-触覚間の注意の瞬き現象(2):視覚から触覚への影響"日本心理学会第67回大会. (印刷中).
• [文献書誌] Tanaka, Miyauchi, Matsumoto, Misaki, Imaruoka, Tashiro: "Transfer of long-range interaction across the visual hemifield by reversed visual input"Vision Sciences Society. (印刷中).
• [文献書誌] Hashimoto, Nakayama, Hayashi, Yamamoto: "Cross-modal attentional blink : visual-tactile interference effect"8th European Congress of Psychology. (印刷中).
• [文献書誌] Hashimoto, Nakayama, Hayashi, Yamamoto: "Cross-modal attentional interference in the rapid serial visual-and-tactile presentations"26th European Conference on Visual Perception. (印刷中).