研究概要 |
事後情報効果に影響与える入力のフォーマットの差異による効果を検討する目的で、オリジナルの出来事の後の事後情報を変化させた実験研究(実験1から実験4)を行った。実験1は、ある女性の1日を描く16枚のスライドを提示し(オリジナルイベント)、その後事後情報として他の参加者による感想をVTRへのビデオ録画(実験1),またはそれを逐語化し紙面に印字したもの.(実験2)によって提示された.再認テストの結果,「ビデオ」による事後情報の提示は,「紙面」による提示よりも誤情報効果が強いことが示された.これは「テレビなどによる視覚情報の方が事後情報として強い影響力を持つ」という仮説を支持するものである.また,紙面提示条件の方が参加者個々のペースで事後情報に触れることができるために,誤情報の検出力が上がると考えられ,これは差異検出原理(Principle of Discrepancy Detection)と一致する.なお,ターゲット刺激個々の特性について検討したところ,提示モードにかかわらず事後情報効果を受けやすかった対象は,ある種の文脈における特定の動作を描写した項目であり,スクリプトの影響がその理由として考えられた. 実験3では、事後情報に関して、二人の他の目撃者がその出来事に付いて話し合っているという風景をビデオに撮影したものを提示し、実験4ではその二人の感想を文字に起こして、それを読んでもらうという形式で提示した。実験3では、ターゲットとなった飲み物に対する事後情報が強かった。実験4でも、実験3と同様の事後情報効果が得られた。しかしその効果は実験4で大きく、特に読み物であるターゲットに対しても、実験4で認められた。 以上の結果から、事後情報の効果は紙面であっても、CRTに提示された人物の提示であっても同様の効果を持つこと、しかし、事後情報のターゲットとなる項目の性質によってその現れ方が異なることも示され、今後のさらなる検討が必要であることが認められた。
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