本年3名の心身とも健康な大学生をリクルートし、本実験の趣旨・目的・操作・危険性について十分に説明し、文書で同意を得た上で実験に参加してもらった。実験の操作は、シフト前条件3日間、12時間シフト後室内光(CL)条件3日間、12時間シフト後高照度光(BL)条件3日間の計9日間実施した。被験者は、自覚的な睡眠日誌とアクチグラフを実験中装着して睡眠覚醒リズムを、口腔内体温を1日5回以上測定し体温リズムを測定した。実験2日目にAP1000で睡眠ポリグラフとその翌日の昼間2時間おきに5回MSLT(反復性睡眠潜時検査)を実施した。同時にVAS、KSSによる自覚的な眠気とクレペリンテストによる計算能力を測定した。CL実験では、蛍光灯の500ルクス下で実験補助者と12時間シフトを行い2日目にMSLTと自覚的眠気などを夜間0時間から2時間おきに5回、BL実験では高照度光装置前で2500〜5000ルクス前で18時から4時間照射し、CL実験と同様に12時間シフトを行い2日目にMSLTと自覚的眠気などを夜間0時間から2時間おきに5回実施した。その結果はまだ解析中であるが、睡眠の熟眠感、覚醒時の客観的なMSLTによる眠気の減少などが、3名中2名で明らかにCL条件に比較してBL条件で認められた。自覚的には、眠気が改善する者が1名、変わらない者が2名であった。睡眠への影響は、CLとBL条件下で大きな差異はなかった。体温リズムは、コサイナー法で解析中である。高照度光の効果は、本年度の3名では被験者間の差異が大きく、明らかなことはまだ言えないが、眠気に対して一定の効果が得られる可能性がある。このため被験者をさらに増やして、次年度に検討する予定である。
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