研究概要 |
2交代性の勤務中の眠気によるパフォーマンスの低下や気分変化について、昼夜逆転のシフトを実験室でシミュレーションし、高照度光による睡眠と気分の変化を検討した。対象は心身とも健康大学生7名で、平均年齢は21.9±0.80歳であった。実験の方法や内容について、事前に書面で説明し本人の承諾を得た。基準日後に10時間睡眠時間を位相交代させ、1回は室内光条件(DL条件)とし、もう1回は午後6時から4時間に2,500ルクス以上の高照度光を浴びさせた(BL条件)。シフト後の両条件で、睡眠ポリグラフ、多相性睡眠潜時テスト(MSLT)、VASやスタンフォード眠気尺度や自覚症状調べ、内田クレペリンテストの自覚症状テストを実施した。昼寝は禁止し、食事の時間も一定とした。睡眠パラメーターについては、BL条件とDL条件では有意差は認められなかった。自覚的な評価では、BL条件ではDL条件に比較し、SSSとVASのうちの眠気度が低下する傾向低下する傾向、VASの中の覚醒度が上昇する傾向が認められた。自覚症状調べはBL条件で減少する傾向、VASのうち悲哀度はBL条件で減少する傾向が認められた。特に眠気はMSLTで、有意に睡眠潜時がBL条件で延長していた。まとめるとBL条件では、自覚的な眠気、それに付随すると考えられる気分や身体的愁訴が改善していた。覚醒時には、自覚的な眠気が改選するだけでなく、客観的なMSLTによる眠気評価でも覚醒度上昇が認められた。これら覚醒早期のタイミングの高照度光照射による翌日の眠気の改善は、睡眠パラメーターにはDL条件とBL条件に差が認められなかった点や時間的な即効性を考えると、この睡眠構造の変化を介する機序とは異なる直接的な作用が考えられる。シフト勤務時には、覚醒時に高照度を浴びることが、眠気の防止や覚醒度の維持に一定の効果があることが確認された。
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