研究課題
今年度の研究では、1年次(平成14年度)に発見した短期的な報酬期待に関係するニューロンと長期的な報酬期待に関係するニューロンと2年次(平成15年度)に発見した刺激-報酬連合を作る過程に関与するニューロンと刺激-報酬連合を維持する過程に関与するニューロンの前頭眼窩野内の分布を調べる事を目的とした。実験では、異なる報酬を与える時間反応課題をサルに行なわせる。サルの前に、レバー、CUEが提示できるパネルを備え付ける。サルがレバーを押すとパネルに手がかり刺激が提示され、5秒の遅延後パネルにGOシグナルが提示される。サルがレバーを離しパネルに反応すれば、報酬を与える(あるいは報酬を与えない)課題である。与える報酬の順序は(1)イモ、(2)レーズン、(3)キャベツ、(4)無報酬である。このような実験をサルに行なわせながら、前頭眼窩野ニューロン活動を記録した。4種類のニューロン(短期的な報酬期待に関係するニューロン、長期的な報酬期待に関係するニューロン、刺激-報酬連合を作る過程に関与するニューロン、刺激-報酬連合を維持する過程に関与するニューロン)は報酬を基にした目標指向性行動や衝動性において、それぞれ異なる機能に関与していると考えられた。4種類のニューロンは前頭眼窩野の広い範囲から記録され、その分布様式を調べたところ、1本の電極に同じタイプのニューロンが連続して記録される傾向があったが、同じタイプのニューロンが前頭眼窩野内で局在していなかった。これらのことより、報酬を基にした目標指向性行動や衝動性に関連する4種類の異なる情報が、前頭眼窩野内で並列的に処理されていると考えられた。
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2nd International Coference on Working Memory Program & Abstract
ページ: 73
Tamagawa-COE International Symposium on Attention and Decision Program & Abstract
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28th International Congress of Psychology Abstract Book
ページ: 1317
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