研究課題/領域番号 |
14510115
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
靭負 正雄 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (20113491)
|
研究分担者 |
山口 清子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (10073090)
|
キーワード | 遅延見本合わせ課題 / 多数刺激セット条件 / 少数刺激セット条件 / 視対象再認記憶 / 関係記憶・学習 / transverse patterning problem / 嗅周皮質 / ニホンザル |
研究概要 |
本研究は、多数刺激セット条件の視対象再認記憶に深く関わっている嗅周皮質が、少数刺激セット条件の再認記憶やtransverse patterning problemのような同一刺激が試行によってあるいは対呈示される刺激によって意味が変わるいわゆる関係記憶・学習課題においてどのような役割を果たすかを検討することにある。本年度は、ニホンザルを用いて、少数刺激セット条件と多数刺激セット条件における遅延見本合わせ課題に及ぼす嗅周皮質摘除の効果を検討した。装置として、ウィスコンシン式一般行動テスト装置(WGTA)を使用した。すべての被験体は、カード除きの訓練後、まず摘除前に、多数刺激セット(300枚の写真刺激)条件の遅延見本合わせ課題を学習基準(連続100試行中90正反応以上)まで訓練を受けた(1日30試行)後、少数刺激セット(3枚の写真刺激)条件の遅延見本合わせ課題を学習基準(連続100試行中90正反応以上)まで訓練された(1日30試行)。その後、実験群は嗅周皮質の吸引摘除の手術を受け、約2週間の術後回復期間の後、少数刺激条件の遅延見本合わせ課題、多数刺激条件の遅延見本合わせ課題の順で再訓練を受けた。統制群は、最初の2課題の学習完成後3週間の休止期間の後実験群と同様の手順で課題の再訓練を受けた。統制群、実験群ともに最初の2課題の訓練では、多数刺激条件の課題を学習した後にもかかわらず、少数刺激セット条件でより多くの試行数を学習完成に要し、条件間の学習転移が見られないことから、少数刺激セット条件には多数刺激セット条件にはない機能プロセスが内在することが示唆された。術後再訓練の成績は、統制群は両課題についてほぼ完全な学習保持を示したが、実験群についてはまだ術後の成績は得られていない。
|