研究課題/領域番号 |
14510118
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
坂本 幸 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40004113)
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研究分担者 |
松下 淑 皇學館大学, 社会福祉学部, 教授 (50023966)
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キーワード | 視覚的伝達手段 / 対人相互交渉 / 視覚的注意の誘導 / 伝達行動の記述 / 手話と非手指動作 / 情報提示の方略 / 言語との対応 / 時間と位置のズレ |
研究概要 |
前年度から検討してきている視覚的伝達手段の記述方法を試用しつつ、幼児期から日本語と手話の両方の獲得を目指して指導を行っているろう学校幼稚部の授業と自由遊び場面を継続的にVTR記録した。 現在、これら4期の記録、計28時間分について、共同で記述と分析を行っている。 詳細についてはまだ充分明確になってはいないが、聴覚障害幼児達の自発的な相互コミュニケーションが3期以降、急激に増えつつあること、幼児同士のコミュニケーションは手話が中心で、授業で試用している「対応手話+指文字」の形式は、健聴教師や健聴の親にたいして使用されるというように、使い分けがなされていること、文字を書くことの指導は特にされていないが、読みと指文字つづりや文字カード並べの指導の成果として、自然に文を書くようになり、また、漢字や、漢字らしきものを遊びの中で書く行動が見られ始めたこと、相互交渉的な指導が可能になってきたこと、聴覚障害教師の授業を中心に、クラスの全員に自分の行動や考えを発表したり、それに対して質問したりする活動が活発になってきていることが判ってきた。 今後は、幼児の反応に差が見られる、健聴教師と聴覚障害教師の授業について、幼児の反応の細かな記述による差の検討と、教師の子どもへの働きかけ方の差の分析を進め、視線の誘導方法や、注意引きつけ、それを保持する方略の違い、自覚情報を中心とする教育教材や情報の提示の方法の差などについて、それぞれの特徴を抽出する予定である。 これとは別に、松下の所属する大学において、アイカメラによる情報提示方略についての実験を、同じく共同で始めている。映像と字幕、手話、視覚教材などへの注意の様子、それらの時間的・空間的配置やズレの効果について実験の予備的検討を始めている。
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