研究課題
基盤研究(C)
本研究は、聴覚障害幼児に豊かな相互交渉を視覚的方法で効果的に保証するため、視線や注意の調節と、視覚的情報の提示方法を探ることを目的として、当初は、1.視覚的伝達に長じている聴覚障害親子間の伝達の方略や技能を観察し、その特性を抽出する。2.ろう学校幼稚部での健聴教師と幼児群、聴覚障害教師と幼児群の相互交渉の様相の差について検討する。3.1・2から、聴覚障害幼児に豊かな相互交渉を保証するための条件を検討するの3計画、さらに追加として、4.複数視覚情報の提示条件、の4研究計画を実施した。その結果、(1)聴覚障害の親子は、相互に不断の視覚的モニターを行っており、相手の視覚的注意確認のルールを有する。(2)聴覚障害幼児間の自発的やりとりは5歳代から急激に増え、(3)幼児同士の伝達は手話中心、健聴教師や健聴の親とは「対応手話+指文字(+音声)」と明確な使い分けがあり、合議でルールを決めての協同遊びが成立する。自発的交渉は短く素早いやりとりである。(4)聴覚障害教師の授業を中心に、集団で自分の考えを発表し討議する活動がなされ、二次的ことば習得のためにも重要な役割を果たしている。(5)幼稚部の手話から「かな」への指導には、一文字毎の確認と文字の順序への注意誘導と記憶の媒体として、指文字が有効である。(6)小1以降の手話併用の日本語指導に向けて、動詞の活用と助詞の用法に一層の工夫の必要がある。(7)台湾の口話中心の聴覚障害小学生の絵本理解は、挿絵の解釈の範囲をあまり超えず、集団相互交渉が充分に機能していない。などが判った。追加4の視覚情報の提示実験では(1)要約筆記とOHP、VTR、パワーポイントなど視覚教材の併用では、媒体のコピーや音声部分の記述を手元に配布すると効果が上がり、事前配布ならば効果はさらに高い。(2)図表と文の同時提示条件では、音声解説の有無で視線の動きに系統的な差が生じる、の結果を得た。
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