研究課題/領域番号 |
14510120
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
数井 みゆき 茨城大学, 教育学部, 助教授 (20282270)
|
研究分担者 |
有園 博子 茨城キリスト教大学, 短期大学部, 助教授 (70282366)
森田 展彰 筑波大学, 社会医学系, 講師 (10251068)
中島 聡美 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・成人精神保健部, 成人精神保健研究室長(研究職) (20285753)
松村 多美恵 茨城大学, 教育学部, 教授 (70091866)
後藤 宗理 名古屋市立大学, 人文社会学部, 教授 (90115569)
|
キーワード | 心的外傷障害 / 愛着障害 / 尺度作成 / 乳児院保育者 |
研究概要 |
15年度においては、以下の2つの活動を重点的に行ってきた。 1)14年度の活動を踏まえて、0歳から5歳までの子どもに対する心的外傷障害の有無や度合い、並びに、愛着障害についての程度を評定する尺度を作成した。そして、これらを愛知県内の保育所の保育士約2000名に対して実施した。現在、回収された質問紙からデータを入力中である。これらの尺度は、0〜2歳児用、3〜5歳児用、障害児用の3種作成されている。本尺度からは、心的外傷障害を疑う行動・情動の様子や愛着障害に関連する行動様態などが、抽出される予定である。なんらかの問題を持つ乳幼児の場合と、そのような問題を持たない乳幼児の場合とを比較できるようにも工夫されている。この尺度の最終的な目的は、一般的な保育所や幼稚園などで、早期に虐待を推測させる行動をとる乳幼児を、保育者が弁別できる項目を選定し、チェックリストを作成することである。 2)2番目に行っている研究は、乳児院における保育者への介入的な活動である。乳児院保育者約25名に質問紙調査を行い、現在の労働形態、保育における問題や課題、疲労度などを尋ねた。被虐待児や他の問題を持つ乳児に対するかかわりにおいて、14年度の聞き取り調査からいくつかの課題があがってきていたが、それらが保育者自身の就労の状況に対する意欲や認識を抜きには考えられないことがわかったので、この調査を行った。そこから、疲労度が激しい保育者が数名いたこと、子どもの保育について乳児院独特の課題などを理解している者とそうでない者との差が大きいことなどがわかった。これらのことは、乳児がなんらかの心的外傷や愛着障害を持って入所した後に、それらの問題がうまく解決されないことを予測される。心的外傷や愛着障害の有無について、保育者が理解し、適格なかかわりをするというためにも、チェックリストの活用が必須であることがわかった。
|