1 ビデオ映像を用いた人物同一性判断課題に関する実証研究を実施するため、以下の作業を行った。 (1)ビデオID手続きに関する、最も基礎的な実験に使われる画像の形態を決めた。 (2)その形態に合致する画像を撮影し、実験に使用するために必要な、被写体の同意書の様式を作成した。 (3)実際に学生58名の同意と協力を得て、画像を収録した。 今後は、さらに画像の数を増やし、多数をデータベース化する。この画像データベースから、所定の特徴を基準に類似性が高い一連の画像を検索するシステムを構築。さらに、検索された画像を用いて、実際に類似性が高いものが選ばれていることを確認する。これをビデオID手続きに用いるための基礎的実験を実施する予定である。 2 ビデオID手続きを作り上げるため、英国とアメリカ合衆国を訪問して、施設などを視察・調査し、担当者や現地研究者からの聞き取り・研究打ち合わせを行った。訪問先と内容は以下のとおり。 (1)英国ウェストヨークシャー(リーズ市)警察 ビデオID手続きが実際に行われるのを見学し、詳細につき解説を受けた。弁護士などからも意見を聞いた。 (2)英国ハンプシャー(ポーツマス市)警察 目撃者パレード手続きを見学した。また導入されつつあるビデオID手続きについて解説を受けた。 (3)米国ニュージャージー州司法省 同州で2001年に実施された目撃証言ラインナップにおける改革について、担当者から解説を受けた。 (4)米国カリフォルニア州リバーサイド郡地方検察局 同検察局での目撃証言ラインナップの実施状況について、教育訓練の責任者から解説を受けた。 以上の視察・見学に関しては、3月13日午後、日本弁護士連合会で開かれた「目撃証言研究会」において、成果の概略を口頭で発表した。また、刑事訴訟法関連の専門誌に発表する論文を現在、作成準備中である。
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