ビデオ映像を用いた人物同一性判断課題に関する実証研究を実施する準備として、前年度に行われた以下の作業を、基本的に今年度も継続した。 (1)ビデオID手続きに関する、基礎的実験に用いる画像の形態は前年度に決定したが、画像収録手続きを確定するため、この形態にさらに検討を加えた。しかし、基本的形態は変更する必要がないと判断した。 (2)被写体同意書の様式も、特に問題がないと判断したので、使用を継続することにした。 (3)今年度は学生104名の同意と協力を得て、画像を収録し、前年度の収録画像とあわせて、データベース化をすすめた。この画像データベースから、所定の特徴を基準に類似度が高い一連の画像を検索するシステムを構築しようと試みたが、検索システムの詳細まで確定できなかった。 今後もこのシステムを完成させるために研究を継続する。そして、このシステムにより検索された画像を用い、実際に類似度が高いものが選ばれていることを確認することで、特定のデータベース・検索システムをビデオID手続きに用いるための基礎的実験が、今後の課題として残った。この基礎的実験には、さらに多くの画像が必要なので、今後はまず、その収録に集中して作業をすすめる。 (4)ビデオID手続きを作り上げるため、ビデオ器材の構成を検討し、室内の配置や、手続きの詳細を決めるための検討を行った。手続きは(i)器材の取り扱いに関して詳細を検討して標準化する側面と、(ii)同一性判断を行う目撃者の扱いに関する側面の双方を検討して決定する必要がある。特に後者については、ID手続き実験を実際に行うことができなかったため、詳細の検討ができなかった。ビデオID手続きを完成させてマニュアル化し、誰でも容易に実施できるシステムをつくりあげるための研究を、今後も継続する。
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