インターネット提供による発達障害教育診断・相談システムの開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14510127
• 研究機関: 東京学芸大学
• 研究代表者: 橋本 創一 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10292997)
• 研究分担者: 池田 一成 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50293006) ; 大伴 潔 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30213789) ; 林 安紀子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70238096) ; 菅野 敦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10211187)
• キーワード: 発達障害 / インターネット / 発達 / 教育診断 / 発達チェックリスト / 障害チェックリスト / 動画配信

研究概要

準備研究において作成された「インターネットによる発達障害相談(研究試験版)」(http://www.jasssdd.org/WebAssessment/公開中)で収集された2年間のデータの統計的検討を行った。それに基づき試作したチェックリスト項目の中で、相談件数の多い学習障害・注意欠陥/多動性障害、言語障害・広汎性発達障害の項目について、収集データと利用者からの意見などをもとに再検討を行った。利用対象者の年齢に応じた発達と障害に関する発達/教育診断を行うために、乳幼児版、学齢児版、成人版の3つの年齢別区分と、知的障害、ダウン症、自閉症、広汎性発達障害(自閉症をのぞく)、言語障害、学習障害、注意欠陥/多動性障害、聴覚障害の9つの障害別区分を設定した。また、各々の年齢段階に応じた発達/教育支援を行うための情報提供を視野に入れた支援フレームに対応した領域設定に再構成した。具体的には、項貝内容の領域を、乳幼児版(対象年齢:0〜5歳)は、「認知」「言語」「運動」「生活する力」の4領域、学齢児版(対象年齢:6〜18歳<小学校段階から特殊教育諸学校高等部段階までを想定したもの>)は、「かず・算数」「ことば・国語」「運動・体育」「作業」の4領域、成人版(対象年齢:19歳以上<障害者援護施設などで活動する人を想定したもの>)は「余暇」「健康と安全」「アカデミックスキル」「コミュニケーション」「地域資源の利用」「自律性」「家庭生活(施設生活)」「セルフケア」「社会的スキル」「仕事」の10領域を設定し項目を配した。一方、実際の発達障害児(5歳児)や健常児(1歳半児、4歳児)の生活・行動・学習場面(着替え、食事、排泄、靴の脱ぎ履き、ままごと遊び、ボール遊び、描画、絵本読み聞かせ、手遊び歌)の9場面×3名の対象児による動画配信システムとそれに対応した発達診断チェックリストの制作を行い、「動画配信による遊び・日常生活技能の発達チェック(研究試験版)」(前記アドレスにて公開中)を試験運用による公開を行った。
一方、インターネットによるセキュリティの問題や個人情報の管理などへの対応として、セキュリティシステム・プログラムの作成と検討を行った。

研究成果

• [文献書誌] 為川雄二, 橋本創一, 池田一成, 林 安紀子, 菅野 敦, 世木秀明: "インターネットを利用した発達障害相談システムの開発と試験運用"発達障害支援システム学研究. 2巻・1号. 17-23 (2002)
• [文献書誌] 為川雄二, 世木秀明, 橋本創一, 林 安紀子, 池田一成, 菅野 敦: "インターネット環境を利用した発達障害相談システムの開発と試験運用"信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE ET2002-91(社団法人 電子情報通信学会). 41-46 (2003)
• [文献書誌] 為川雄二, 橋本創一, 林 安紀子, 菅野 敦: "インターネット発達障害相談の利用傾向-学齢期にあるLDあるいはADHDが疑われた例について-"日本発達障害学会第37回大会発表論文集. 49 (2002)
• [文献書誌] 為川雄二, 橋本創一, 林 安紀子, 池田一成, 世木秀明, 菅野 敦: "World Wide Webを利用した発達障害相談システム(2)-利用時間帯や相談者・対象児の傾向等からみた今後の課題-"日本特殊教育学会第40回大会発表論文集. 369 (2002)
• [文献書誌] 加藤宏昭, 橋本創一: "発達障害児の療育・教育プログラム書籍に関する調査"東京学芸大学特殊教育研究施設 研究報告. 2号. 51-58 (2003)
• [文献書誌] 為川雄二, 橋本創一, 林 安紀子, 菅野 敦: "インターネットによる動画配信を利用した遊び・日常生活技能の発達チェック"日本発達心理学会第14回大会発表論文集. PB0063 (2003)