研究概要 |
1.形態・音韻・意味処理,及び,2種のリハーサルの再生率の違いの再活性化説による説明可能性の検討 従来処理水準説で説明されてきた上記2種の記憶定着メカニズムが,再活性化説(水野,1998)でより合理的に説明可能であることを学際的方法で検証した。 (1)同一処理を反復した際の再生率は処理水準説では上昇しないとされてきたが,再活性化説では上昇すると予想された。水野(2003b;2004a-次頁掲載順にalphabet添付)は,再生率が反復で上昇し再活性化量と相関することを明らかにし,再活性化説の優位性を検証した。 (2)意味→形態,形態→意味と異なる処理を異なる順序で反復した際の再生率は,処理水準説では等しいとされてきたが,再活性化説では後者の方が高いと予想された。水野(2003c,2004d)は後者の方が再生率が高いことを,水野(2003d,2004b)はその再生率が再活性化量から推定しうることを示し,再活性化説の優位性を検証した。 (3)維持・精緻化リハーサル中の記憶活性度の変化を測定し,前者では概念の最大活性化量・再活性化量が少なく伝播も生じないが,後者では最大活性化量・再活性化量ともに多く,伝播が関連概念に集中的に生じることを明らかにし,両者の違いが深さよりも再活性化量でより具体的に説明可能であることを示した(水野,2004c)。 2.改良Low-First方式のCAIでのマルチメディア・フィードバックの効果の実践的検討 再活性化説から導かれた改良Low-First方式のCAI(水野,2002)は,効果的だが習得状況のメタ認知が難しく,学習しにくいと評価されていた。水野(2003a,e),Mizuno(2004)は,習得状況がわかるマルチメディア・フィードバックを考案し・追加し,このCAIの学習しやすさのみならず,効果・効率をもさらに高めることに成功した。
|