研究課題/領域番号 |
14510133
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 俊和 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (70131216)
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研究分担者 |
斎藤 和志 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 教授 (20211922)
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キーワード | 社会的迷惑行為 / 社会志向性 / 社会的コンピテンス / 社会考慮 / 他者視点取得 / ステレオタイプ / 同調行動 |
研究概要 |
中学生に「人間」や「社会」について考えさせることによって、他者や集団・社会への志向性、社会的コンピテンスを高めていくことを目指した教育実践である。教育の場への心理学的アプローチは数多く存在するが、「人間や社会を考える能力を刺激する」ことを目標とした場合、対人関係や社会的な問題の答えは必ずしも1つではない。それゆえ、本アプローチでは、社会心理学の知見と関わることを生徒に体験させ、それについて考えさせることが重要な役割を果たしている。 「ソーシャルライフ」という授業を構成する際の基本方針として、(1)自分や身近な他者から集団や社会といった広い視点に至るまでの関連や相互作用について理解を深める内容であること、(2)授業内容にできるだけ生徒の現実生活を反映させること、(3)授業の中にゲーム的な要素を盛り込むこと、(4)心理学(おもに社会心理学)的な背景が存在していること、の4点を念頭においた。 中学1年生に対して行われた授業の内容は、他者や社会を理解する枠組みに関する認知的な側面へのアプローチ(例:印象形成、原因帰属など)と、他者との相互作用や集団の中での行動のレパートリーを広げるという行動的側面へのアプローチ(例:社会的スキル、集団討議など)とで補完し合うようなものとして構成されている。 中学2年生の授業では、対象を「自分、身近な他者」から「集団」に広げていくことが試みられている。具体的な内容は、社会的な場面での多様な視点の存在(他者視点の取得)、ものをまとまりとしてとらえる傾向(グルーピング)、属性に対する典型的な特徴のあてはめ(ステレオタイプ的認知)、集団での討議における極性化や同調行動、などである。
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