研究概要 |
1.心理学を活用した「新しい授業」がめざすもの 家庭や地域が、心の教育を担当する機能を十分に果たせなくなったとすれば、学校教育がその役割を果たす必要が出てくる。このことを実践するために、名古屋大学教育学部附属中学校と共同で進めてきたのが「ソーシャルライフ」の授業プログラムである。すなわち、「人の行動のしくみ」、「対人関係」、「集団や社会」に関して得られた社会心理学や教育心理学的な知見を、生徒に体験的に教えることにより、社会的コンピテンス(対人関係能力・集団や社会への自立的適応力等)や社会志向性を高めるための授業プログラムを開発することが、本研究の目的であった。 2.具体的な授業プログラムの作成 中学1年生向けの授業では、「自分や身近な他者」を想定したテーマを扱った授業を30時間分,作成した。中学2・3年生向けの授業では「他者から集団・社会の理解へ」を目指したテーマを扱った授業を、それぞれ10時間分作成した。 3.本研究の成果と反響 2002年度の日本教育心理学会総会において、シンポジウムを開催したところ、多数の現職教員から関心を示された。さらに、奈良県教育研究所における教員研修会、2003年度日本学校心理士会東海支部研修会でも、現職の教員の方々から様々な反響があった。また、名古屋大学教育学部附属中・高等学校で開催された第15回全国中等教育研究協議会の分科会でも約100名の現職教員が参加し、導入についての活発な討論が行なわれた。
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