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2003 年度 実績報告書

描画における「模倣」と「創造」の関係に関する認知心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510135
研究機関名古屋大学

研究代表者

岡田 猛  名古屋大学, 大学院・教育科学発達研究科, 助教授 (70281061)

キーワード描画 / 模倣 / 制約緩和 / アイデアの生成 / 創造
研究概要

本研究では,これまで解明が進んでいない創造性の認知過程を科学的に明らかにするため,一般に対立する概念として考えられてきた「模倣」と「創造」の関係に着目した.特に芸術領域での描画活動において模倣が創造を抑制するのか,それとも促進するのかを検討するために,大学生30名を対象として,一人あたり3日間に渡って5枚の絵を描くという心理実験を遂行した.この実験から得られた研究結果は以下の3点に要約される.
まず,模倣を通じて実際に絵の創造性が高まったか否かを検討するために,パフォーマンスの分析を行った.複数の芸術家が絵の創造性を評価したところ,模倣を行った者が描いた絵は,行わなかった者のそれに比べて高い創造性得点を獲得した.次に,模倣がどのように創造を促進したのかという点を明らかにするためにプロセスの分析を実施した.一つ目の分析からは,他者の絵を模倣することで,自らが持っている絵の描き方についての「信念」が変化して描き方のレパートリーが広がるというプロセスが明らかになった.二つ目の分析からは,模倣を行うことで自分が表現したい内容やその方法が明確になり,自らが次にオリジナルの絵を描く際にアイデアが生み出されやすくなるというプロセスが示唆された.他者の絵を模倣している最中の発話プロトコルからは,模倣が単に他者の描き方を受動的に学ぶだけの行為ではないことが明らかになった.すなわち,他者の描き方を理解するだけでなく,その描き方との比較を通じて自らが表現したい内容や方法の探索も同時に誘発されるという能動的なプロセスであった.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 石橋健太郎, 岡田猛: "創造のための「芸術作品の知覚」経験:模倣に焦点をあてて"認知科学. 11,1. 51-59 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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