1.3人間コミュニケーション実験 話し合いの進め方について、互いに親しくなるように(親和化条件)あるいは、話題を提示し、結論を出せるように話し合い(討論条件)を設定した(18分間、対面状況で男女同性3人による)。対象組数は、23組(69名)。話し合い後には、他のメンバーについての印象評定、参加の積極性等についての評定を求めた。この結果を基に、発話逐語記録から、発話のラリー、内容分析、視線、ジェスチャーのパターンを条件との関連で、分析中である。初対面 討 親 既知 討 親 男33 女55 男11 女41 計23組 2.解読実験 上記実験データの中から、討論、親密化条件、男女各1組の話し合い場面を各2分間抽出し、これを男女大学生202名に提示し、話し合いの積極度、親密化促進度、緊張度についての評定、その手がかりとしてのコミュニケーション・チャネルについての評定を求めた。なお、提示に際し、既知・未知との情報を操作して、この情報との関連も検討している。結果については、現在分析中。他の提示条件についての実験は、引き続き実施する。 3.苦手、得手の場面、他者との関係について調査 男女大学生221名を対象に苦手(得意)とする対人場面に関する自由記述の内容と社会的スキル(ACTによる)との関連性を検討した。初対面の人と、年長者との接し方、顔見知り程度の人との会話に苦手意識を抱いていた。また高ACT男性は、より積極的・主張的な対人行動に苦手意識を感じていた。得意な場面としては、その場限りの相手に対するマニュアル的な行動が多く挙げられた。女性は身内との関係が円滑で、低ACT男性は自分の支配力の及びやすい関係を挙げていた。 4.顔面表情表出の実験 感情表出の社会的要因の影響を探るために、感情教示法と写真教示法、及び単独条件と同室条件における怒りと悲しみの表情について、FACSに基づくAU単位の分析を行った。その結果、悲しみの表情では単独条件と同室条件において示された。怒りと悲しみとでは異なる教示・条件の差が表れることが見出された。 これらの結果から、社会的スキルのモジュールを抽出し、次年度のトレーニングプログラム作成の展開に備える。
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