平成14年度から平成17年度の4年間で、幼稚園児を被験者にする実験を3回行った。 1回目は、ペット型ロボットとしてアイボとドッグコムを用いて、それぞれのロボットに対する生命や心的機能の付与に関して、年中児と年長児との比較研究をおこなった。 2回目は、年中児と年少児を協力者に、1回目の実験手続きを改良し生命概念などについてアイボ・現実の犬・玩具の犬との比較を行った。 3回目は、幼稚園児、年少・年中・年長の3学年の園児に、アイボが「喜ぶか」「嫌がるか」との問を設定した上で、アイボと10分間の交流をさせたのちに、その心的付与についての判断を尋ねた。第1回目の研究は、現在「発達心理学研究」に投稿中である。2回目の研究は「京都国際社会福祉センターの紀要"発達・療育研究"」に掲載されている。3回目の研究は、2006年3月の発達心理学会でポスター発表を行った。 また、これらの研究を補足するために、大学生12名にアイボを1週間貸し出しその間アイボ日誌を書いてもらい、それを現実に犬猫を飼っている人たちのペット日誌と比較する研究も行った。アイボに対して生きていないことからイライラする被験者が多いなか、3名ほどの被験者がアイボに対してペットに対するかのような情愛を示したことは興味深い。 また、幼稚園の子どもたちの虫やカメやウサギなどとの関わりのフィールド観察研究を4年以上行い、そこでも子どもたちの行動や発言をまとめ、2004年度の教育心理学会などで発表をおこなった。結論として、実際の生き物とは異なるロボットという新たなカテゴリーの出現を示唆した。園児達は、ロボットをロボットであると理解しつつも「生きている」「生きていない」「心がある」「心がない」とうの問には、あいまいな反応を行っている。大学生の一部2割ほどの被験者は、アイボに対して「心」があると判断した。
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