本年度は、以下の四つの目的に沿って、研究を行った。 まず第一に、岡山市内の中学校の教頭1名を対象として、週二回4ヶ月という長期間にわたり、朝8時から夕方5時まで、学校における教頭の日常活動を観察した。観察結果は、観察者のメモとICレコーダーによって記録した。さらにその教頭に面接を行い、中学校の管理職である教頭の学校組織における経営行動を明らかにした。研究成果については、今後関連学会(日本心理学会、日本教育心理学会等)において発表する予定である。 第二に、教師の学級経営に注目して、教師と生徒の信頼関係を促進するための一手段として、教師の自己開示に注目し、教師が意図的に自己開示することによる生徒への効果について実験的に検討した。 第三に、昨年実施した調査結果について、以下の各論文としてまとめた。(1)教師の協働的効力感と学校の職場風土の関係について、教師学研究にまとめた。(2)教師とスクールカウンセラーとの協働的関係については、調査の結果を対人社会心理学研究にまとめた。(3)教師の対人的葛藤に関わる調査結果については、岡山大学教育学部研究集録にまとめた。(4)上記の(1)から(3)までの各研究をつなげるための理論的な論考として、学校組織研究の最新の研究動向として、岡山大学教育学部研究集録にまとめた。 第四に、小学校、中学校、高等学校の現職教師を対象として、学校組織の意思決定に密接に関わる教師集団の職場風土と教師の集団効力感に関する調査を実施して、職場風土と教師集団の効力感に関する質問紙を開発した。
|