研究概要 |
本研究は,幼児間の利害や意見の対立あるいは不一致が生じている対人葛藤場面で,他社に対する怒りや嫌悪,悲しみなどの感情を社会的に容認される形で処理する幼児の感情処理能力の育成と,保育者の支援のあり方を行動レベルで明らかにすることを目的としている。 当初の予想とは異なり,固定ビデオカメラによる行動観察では,十分な対人葛藤場面の記録,特に保育者の支援を含むような記録が得られなかったことから,本年度は,昨年度十分収集できなかった対人葛藤場面の記録を得るために,引き続き,固定ビデオカメラによる定時行動観察を実施しながら,昨年度の行動観察では,保育者の支援以前に幼児同士で解決することが多く,保育者の支援が記録されにくかったことを踏まえて,保育者に,日常接する幼児の対人葛藤場面の特徴について,(1)推定される原因,(2)当該幼児の感情表出や抑制の行動(顔面表情や身振り,姿勢・動作などの特徴を含めて),(3)まわりで見ている幼児たちの反応などを自由記述してもらった。 また,そのような対人葛藤場面での保育者の支援(言語的,行動的な面を含めて)の特徴について,(1)感情をあらわにしている幼児や感情を抑えようとしている幼児への支援,(2)まわりで見ている幼児たちへの支援などを自由に記述してもらう予備的調査を行った。この予備調査を基に,幼児の対人葛藤場面における保育者の支援の様相を整理し,調査票を作成した。現在,未回収の調査票もあり,分析の途中であるが,保育者の支援パターンと幼児の感情表出に関連が見られるようである。
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