本研究では、四国四県の養護学校の高等部を卒業し、現在企業就労をしている自閉症者73名を対象に職場適応状況(知的機能、勤務年数、障害の特徴、職種、仕事の形態、現在の適応状況、仕事量の変化、仕事の質の変化、不適切行動の変化、仕事面の支援、生活面の支援、仕事面の問題点、生活面の問題点、現在の作業量等)を調査し、それを分析することで、自閉症者の就労を可能にする要因と就労維持要因について検討した。その結果次のことが明らかにされた。 ●就労を可能にするための要因 ・知的機能の程度により就労が決まるものではない。知的機能よりも彼らの特性、実態を十分把握し、彼らの能力がフルに発揮できる仕事を選ぶことがポイントである。 ・職場の理解が何よりも重要である。自閉症の障害を正しく理解してもらえるよう教師が職場に積極的に働きかけることと、教師と職場の連携、協調は就労実現には欠かせない。 ●就労維持要因 ・多くの従業員に自閉症に対する理解がある ・本人に対して職場の適切な支援(仕事面、生活面)がある ・本人の作業能力に向上が認められる ・不適切行動の有無は必ずしも就労維持の要件とはならない ・現在、調査対象者の範囲を全国に広げ(企業就労自閉症者373名から回答あり)、今回の調査と照合しながら、就労拡大の要件について、さらに検討中である。
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