本研究においては、学校卒業後の自閉症者の職業生活、施設生活の適応状態を把握し、支援的側面から実態の詳細を明らかにすると共に、自閉症者の就労維持のためには職場に対しどういう支援が必要か、また、福祉的就労の人が企業就労を実現するためにはどういう課題をクリアしなければならないか、さらには就労自立を果たすためには学校教育でどういう指導課題を、どんな方法で、どんな順序で指導すればよいか、を検討した。 16年度は14年度、15年度の研究を基に、就労自立のための指導プログラムの作成を行った。具体的には就労のために最小限必要な指導課題項目(842項目:基本的生活習慣-217項目、くらしの技術-326項目、集団参加-170項目、職業意識-129項目)を抽出し、それらを6歳から18歳(発達年齢1歳から12歳)までの自閉症児224名と知的障害児380名を対象に実態調査を行い、指導課題項目ごとに発達年齢別に通過率を算出し、すべての指導課題項目について最適指導年齢を明らかにした。この指導プログラムは健常者、知的障害、自閉症別に指導年齢を示しているので、個々の能力、障害に応じた、適切な指導課題が段階的に分かるようになっている。
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