高機能PDD(広汎性発達障害)と判断された子どもに対し学校全体における指導全体についてコンサルテーションと指導を行った。特に通級指導教室においては、他者の感情の読み取り、間接発話の理解、語用を中心とした会話理解の指導を行った。その結果、心の理論課題を通過できるようになった一方で、クラス内の友人関係も改善した。 一方、知的障害養護学校中学部に在籍する自閉性障害児に心の理解に関する課題を実施した。さらに劇を用いた支援を行った。その中で、他者の視線を意識する活動や他者を援助する活動、自己や他者の演技に言及する活動を行った。はじめ、他者の視線を意識することができなかったが、しだいに意識するようになった。また、他者を援助する場面では、名前を呼ぶだけであったり力任せに手をひくだけであったりした対象児が、しだいにことばかけをしながら手をひくような働きかけが見られるようになり、力加減をして手をひくようになった。一方、自己や他者の演技についての言及では当初、行動レベルの言及にとどまっていたが、しだいに身体感覚や心の状態への言及をするようになった。そこで、心の理解に関する課題を実施したところ、いくつかの一次の誤信念課題を通過するようになった。また、日常生活においても、他児の遊びに入れてもらうための発話や転んだ人に「大丈夫?」と尋ねるなどの自発的な社会的・向社会的行動がが見られるようになった。
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