研究概要 |
本年度は3年計画の2年目にあたり,昨年度の成果をもとに,小学校新入学児とその保護者のためのサポート・システム試行版を構築することを目的とした。特に,新入学児の受け入れに際しての,小学校,幼稚園,保育所等の関係機関の間での情報共有の方法に焦点をあて,事例検討的に研究を行った。具体的には,(1)情報共有カルテの試作と,(2)このカルテを用いるための小学校校内システムの構築,および(3)そのカルテを活用した関係者と関係機関の間の情報共有策の試行である。 まず,(1)情報共有カルテに関しては,小学校での軽度発達障害への対応に利用できる情報と,クラス編成など学年経営上必要となる情報を合わせて情報収集できるような項目内容と形式を工夫した。なお,項目内容の検討に際しては,療育機関等の意見を参考にして実用性の高いものを目指した。 次に(2)このカルテを用いるための小学校校内システムの構築については,1公立小学校において既存の特殊教育関係の委員会を拡大し,学校内で特に支援を要する児童の確認と情報の整理を行うことから開始した。その後,整理された情報をもとに具体的な支援策の検討にまで進めることができた。 最後に(3)情報共有カルテの活用については,1公立小学校においてまず小学校と幼稚園や保育所との連絡体制作りを行い,その後,平成16年の新入生の受け入れにむけて具体的な情報共有を進めた。これにもとづく取り組みの具体的成果については,次年度の児童と保護者と小学校に関わる追跡が必要である。 なお,上記(2)(3)の取り組みは,小学校内の研究協力者のコーディネートによるものであるが,特別支援コーディネーターを地方自治体単位で養成する取組にも関わり検討を行った。
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