研究概要 |
本年度は3年計画の最終年にあたり,1.昨年度の小学校主体のサポート・システム試行版の成果を検証すること,2.研究協力校(小学校)を増やして情報共有カルテを用いたサポート・システムの改善を行い,システム導入・運用時の留意点を明らかにすること,3.幼稚園を含めた幼小連携によるサポート体制構築の事例を検討すること,そして4.3年間の研究の総括を行い,今後の課題を明らかにすることを目的とした。 その結果,1.平成16年3月までのサポート・システム試行版での支援対象となった小学校新入生については,出身幼稚園や保育所との連携によって,小学校側がより具体的に教育的ニーズを把握し,クラス編成や入学後の具体的支援策の実施が可能となった子どもの数が増えた。一方,今後の課題として,提供を受けた情報の活用に関して,小学校から幼稚園や保育所へのフィードバック方法の工夫が挙げられた。 次に,2.本年度は他の研究協力校1校でも,情報共有カルテを用いたサポート・システムの導入を試みた。既存の学校内組織や従来からの取組を考慮して,まず校内の組織作りと整備から着手し,それをもとにして,新入生のためのサポート・システム作りを行った。まだ十分に地域の特徴(例:発達障害児の就学指導に積極的に取り組んでいる,アンカーポイントとしての療育機関の存在など)を活かしているとは言えないが,新たに整備されたシステムの成果は,新入生を迎えた本年(平成17年)4月以降に検証する必要がある。 さらに,3.幼小連携によるサポート体制構築に関しては,幼稚園における積極的な取組と効果的な幼小連携の具体例を挙げることができ,また巡回相談員や専門家チーム,特別支援教育コーディネーター教員等の人的資源の活用法が検討された。以上の研究から,4.総括としては,構築されたサポート・システムの恒常的な運用と不断の改善が今後の課題として考えられた。
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