研究概要 |
イメージ療法を適用したさまざまな事例を分析し、病理の重篤度(病態水準)に応じた治癒過程の特徴を明らかにした。【対象と方法】報告者が壺イメージ法(田嶌,1987,1997)を適用した事例の面接過程を、以下の方法で分析した。【データの分析】まず、報告社が壺イメージ法を適用した事例を米国精神医学会の診断基準DSM-IV(1994)によって、健康水準、神経症水準、境界例水準、精神病水準に分類し、次いで報告者の「イメージ体験様式理論」に基づいて作成された「イメージ体験評定尺度」による評定と分析を行った。 神経症水準や健常水準の事例では、いずれにおいても報告者のいうイメージ拒否・拘束、イメージ観察、イメージ直面、イメージ体験、イメージ受容というイメージ体験様式の変化過程を経ていることが確認された。また、神経症水準の事例で10数回〜数十回で起こったのと同様の過程が、健常水準の事例では1回〜数回で生じているという違いがあることも明かになった。それに対して、境界例や精神病水準の事例では、このような過程は部分的には生じるものの、十分に体験するのではなく、体験から距離をとる過程「安全弁」が必要である。
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