研究1:祖母と孫の関係に関する日韓比較研究 目的:祖母が内孫と外孫で異なるかかわりをもっているか、日本と韓国で比較する。 方法:東京と沖縄、ソウルとその郊外の小学生孫をもつ祖母を対象に孫との親密さ、および孫への関与(祖母役割)を測定した。 結果:地域4×孫の性2×系譜の分散分析結果、祖母役割としての「伝承機能」と社会化の担い手である「しつけ的機能」で孫の性と系譜の交互作用が有意であった。下位検定の結果、内孫では孫の性による違いはないが、外孫では孫息子より孫娘で高い得点を示し、また、孫息子に対しては外孫より内孫で高い得点を示した。 考察:得られた結果は、地域にかかわらず、祖母-娘-孫娘および祖母-息子-孫息子という2つのkinship lineの存在を示すものである。 研究2:祖母に対する孫の親密関係-日韓比較研究 目的:日韓の小学生孫は系譜の異なる祖母との間で異なる特徴を示すか。 方法:日韓の小学生高学年生を対象に、祖母との親密さ、祖母役割を測定した。 結果:地域4×孫の性2×祖母の系譜2の分散分析結果、有意な交互作用は得られなかった。祖母との親密関係に及ぼす要因を明らかにするために行われた重回帰分析の結果は、沖縄だけで、系譜の効果が認められた。 考察:沖縄の孫は、母方祖母より父方祖母に対して、単に仲良し関係にあるだけでなく、祖母が困った時には自分が助けてあげなければならないという規範を含む親密関係を示したことは、父系直系家族におけるkinship lineの残存を示唆するものである。
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