平成14年度においては、研究計画調書に従い、早稲田大学文学部発達心理学研究室において9か月児から30か月児とその母親を対象に、子どものジョイント・アテンションの実験観察を縦/横断的に実施してきた。実験観察場面は、叙述場面として「鯨の縫いぐるみ」場面(視覚刺激)と「鳥の鳴き声」場面(聴覚刺激)の2種類、要請場面として「あれが欲しいよ」(獲得要請場面)と「助けをもとめる」(援助要請場面)の2種類、会話場面として「思い出」(過去の不在対象共有場面)と「これからのこと」(未来の不在対象共有場面)の2種類、交流場面として「音楽ごっこ」と「順番ごっこ」の2種類、計8場面が用いられた。各場面の所要時間は、いずれも5分間であった。現在(平成15年2月4日)の時点では、横断的データとして9か月、12か月、15か月、18か月、21か月、24か月、27か月、30か月の各群で10組以上、さらに20組以上の縦断的データがビデオ記録されている。さらに、ボタンを手で押すと中のキャラクターが回転するメリーゴーランド玩具を用いて、額でボタンを押す例示行動を示し、子どもに額押し模倣を促す「抗アフォーダンス模倣」の実験を新たに組み込み、模倣行動の発達をジョイント・アテンションの観点から分析する試みも開始された。こうしたデータを部分的にまとめ、乳幼児のジョイント・アテンション行動の発達過程を学会に報告し、すでに評価を仰いできている。今後は、目標のデータ数を確保する作業を進め、購入した観察データ収集・解析システム(The Observer)を用いた分析にも着手したい。
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