研究課題
基盤研究(C)
平成14年度には、入院患者を対象とした調査票を作成し実施した。平成15年度には、比較対照群として健常者に対する同様の調査を実施した。入院患者と健常者の比較を通して、入院経験が患者の人生観ないしは生き方に関する態度に影響を及ぼすようなインパクトをもつ事態であるのかについて検討した。平成15年3月までに、沖縄県の北部・中部・南部地域の4つの総合病院において、内科・外科・整形外科等に入院中の患者から132件の有効回答を得た。回答者の内訳は、年齢範囲が14~91歳(平均年齢61.60歳)。性別は男性61名・女性70名。調査時点までの入院日数は1~180日(平均32.94日)であった。平成15年4月には入院患者の比較対照群として健常社会人に対する調査を実施した。有効回答数は104件。回答者の内訳は、年齢範囲が20~67歳(平均年齢41.60歳)。性別は男性42名・女性62名であった。入院群を60歳未満(47名)と60歳以上(82名)に分割し、これに健常群を含めた3群の比較をおこなった。「生き方」に関する態度尺度を「自己実現」と「人生に対する肯定的態度」の2つの下位尺度にまとめた上で、各平均値を比較したところ、「人生に対する肯定的態度」得点において群間に有意差が見いだされ、入院60歳以上群が入院60歳未満群や健常者群に比べて、人生に対する肯定的態度を持つ傾向が示された。これらの結果は、平成15年度日本社会心理学会第44回大会において「入院経験は人生の転機になり得るか?」として発表した。しかし、健常者群の年齢構成が入院患者群と著しく異なっていた38ため、得点変動が、入院経験によって生じたのか、加齢による効果なのかを分離することができなかった。そこで、平成15年12月に60歳以上の比較的高齢の健常者(58名)のデータを追加し、入院患者と健常者の年齢構成に配慮した上で再分析を行った。この結果は平成16年3月、沖縄心理学会第31回大会において「入院経験が生き方に関する態度と自己効力感に及ぼす影響」として発表した。平成21年度には、健康心理学的観点から考察を加えて琉球大学法文学部人間科学科紀要に論文投稿した。
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琉球大学法文学部人間科学科紀要 人間科学 第25号
ページ: 1-34
Bulletin of Faculty of Law and Letters, University of the Ryukyus : "Human Being Science" No.25