研究概要 |
自治体の国際交流や国際協力活動は注目を集めている。この傾向は日本のみならず、世界的にも顕著であり、今後さらに実践的な展開が期待される。かつては国家のみが国際政治のアクターとして考えられていたが、現在では自治体も独自に国際協力や世界平和の分野で活動しはじめている。 本調査は、日本の農村社会において国際交流・協力活動がどのような影響を与えているのかについて、考察するものである。農村地域の住民の意識においてどのように国際交流や協力がイメージ化されているか、まちづくりとどのように具体的に連携されているのか、観光など具体的なメリットがあったか、産業の育成という点でなんらかの効果があったのか、市民教育においてどのような効果があるのか、などの点を明らかにしていくことが目的である。 具体的には、島根県横田町、広島県高宮町(高宮町は2003年3月1日より合併により安芸高田市になっている)、青森県田子町の3つの自治体の取り組みを中心に調査を進めた。島根県横田町はタイとそろばん国際協力、広島県高宮町はニュージーランドとの交流、青森県田子町はにんにくをテーマとした国際交流で知られている。それぞれにユニークな活動を行っており、注目に値する。横田町は人口7,933人(平成16年3月1日現在)、高宮町は人口4,568人(平成15年3月31日現在)、田子町は7,648人(平成15年3月31日現在)の小さな田舎町であり、いずれも過疎化が進む。こうした過疎化の進む田舎の町にとって国際交流・協力活動とはどういう意味を持つのであろうか。どのような影響があるのであろうか。各々のケースの特殊性にも注目しながら、考察を進めた。
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