1.大分県のこれまでの地域情報化は、機関や各種団体の直接・間接の連携を諮りながら面的な広がりを目指す点を特徴としていたが、e-Japan戦略以降のIT政策にもとづく地域情報化においても、県の行政ネットワークの整備においては関係市町村の基盤整備事業をあわせて進めるために、県と市町村が合同して総務省の地域情報化整備事業に事業計画を申請するなど全県的体制をとっている。これは、地域の情報環境を広域で整備するために有効な取り組みである。だだし、これは全国で標準化された行政業務の電子化を目的としており、整備事業の制約もあるために、行政と地域杜会の市民や民間の情報化活動との連携は今後の課題となる。 2.地域で整備された情報環境を活用するには、地域社会からの内発的な活動としてネットワークが構築されなくてはならない。臼杵市の地域情報化事業は情報化事業を地域での通信の利便性向上という狭い目的ではなく、行財政改革や中心市街地活性化というより広い地位社会の課題を解決する手段として位置付けること特徴がある。このような情報化は、施設・基盤の整備自体を成果とするのでなく、市民の利活用と地域の課題の解決とを結びつけることが重要になる。しかし、地域の情報基盤の整備はその物理的局所性によって個人ユーザの意識や価値観を地域に向かわせるものではない。ネットワークを地域を志向して利用するためには、地域で共有された関心をもとに、ユーサーズグループや地域団体などの社会的な装置に媒介されることが課題となる。
|